
「行政書士試験に合格したけど、どこから手をつければいいのかわからない…」
そんな声をよく聞きます。特に40代・50代で新たなキャリアとして行政書士を目指す方にとって、初めての開業はわからないことだらけですよね。
でもご安心ください。本記事では、登録から事務所運営の準備まで、行政書士としての開業に必要なステップを“ひと目でわかる”チェックリスト形式でご紹介します。
目次
■ STEP 1|事務所の確保と備品の準備

行政書士登録の前に、まずは事務所の場所と最低限の備品を整える必要があります。登録時に「事務所確認」があるため、自宅開業であっても机・椅子・書庫などは整えておきましょう。
単位会によって異なりますので事前に確認して揃えましょう。下記が一般的な準備物です・。
【準備すべきもの】
- 事務所の場所(賃貸 or 自宅一室を確保)
- デスクと椅子(長時間作業に適したもの)
- 書類保管用キャビネットまたは書棚
- パソコン(ノートPC+モニターが望ましい)
- プリンター・スキャナー複合機
- インターネット回線(光回線推奨)
- 電話(固定 or スマホビジネス回線)
- 行政書士用職印(登録時に必要。角印を準備)
- ゴム印(事務所名・住所・電話番号)
行政書士用職印は、登録書類とともに印影を提出する必要があるため、必ず事前に作成しておきましょう。
■ STEP 2|行政書士として登録する
行政書士として業務を行うには「行政書士名簿に登録」されていることが必須条件です。合格だけではまだ業務はできません。
【登録の流れ】
- 各都道府県の行政書士会で登録申請書類を入手
- 必要書類を揃えて提出
- 事務所調査を受ける
- 登録料(約250,000円~300,000円)
登録後、「行政書士証票」とバッヂが交付され、行政書士を名乗って業務ができます。
提出書類と添付書類の準備
登録申請には以下の書類が必要です。単位会によって違いますので、必ず各都道府県の行政書士会で確認してください。
【主な提出書類】
- 登録申請書(登録免許税3万円の印紙貼付)
- 履歴書(写真貼付:2.5cm×3cm)+同じ写真を3枚別添(裏に氏名と撮影日記入)
- 住民票(本籍入り・3ヶ月以内のもの)
- 行政書士資格証明書:
- 試験合格者:合格証の写し(原本持参)
- 公務員歴:職歴証明書(発行3ヶ月以内)
- 他資格者:登録事項証明書(弁護士・税理士等)
- 誓約書(行政書士会用・日行連用)
- 政治連盟への承諾書
- 本籍地の身分証明書(破産等に該当しない証明)
- 事務所の位置図
- 事務所の使用承諾書(賃貸の場合)
【必要に応じて提出】
- 学歴証明書(行政事務歴が17〜20年の方)
- 懲戒歴のない証明書(公務員歴があり退職3年以内の方)
- 戸籍抄本(旧姓使用や氏名変更がある場合)
- 共同・合同事務所の届出書(同一室内で他士業等と共有する場合)
- 特別な誓約書(勤務先内に事務所を設ける場合など)
申請時には職印・私印も持参し、印影提出を求められます。
■ STEP 3|開業届の提出と税務関連手続き
開業が決まったら、税務署への届出も必要です。開業日から原則1か月以内に行いましょう。
【提出書類】
- 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)
- 青色申告承認申請書(青色申告をする場合)
- 事業開始等申告書
e-Taxまたは最寄りの税務署へ提出可能です。
■ STEP 4|業務に必要な道具類の準備
行政書士業務では、書類の作成や押印、郵送など「アナログな作業」も多くあります。特に以下のものは開業時にそろえておきましょう。
【実務の基本ツール】
- クリアファイル・封筒・レターパック
- 領収書・契約書の雛形
- 郵送用の切手・印紙
- 名刺(行政書士の肩書き入り)
■ STEP 5|業務用口座と会計管理
報酬を受け取るための銀行口座を開設しましょう。個人名義でも問題ありませんが、事業用に分けた方が管理がしやすいです。
また、帳簿や経費管理も意外と重要。Excelやfreee、弥生会計、マネーフォワード(会計ソフト)を使って、初期から整えておくことをおすすめします。
■ STEP 6|名刺・HP・SNSなど営業ツールの整備
最初の仕事は“紹介”や“知人ルート”から来ることが多いです。そのため名刺・自己紹介・連絡先などを整えておくと信頼度が一気に上がります。
- 名刺(行政書士の肩書き入り)
- ホームページ(ペライチなど無料ツールでもOK)
- LINE公式アカウントやX(旧Twitter)
- プロフィール写真・経歴の整備
あなた自身の「人柄」が伝わるツールを作りましょう。
■ STEP 7|開業前後にやっておくとよいこと
- 行政書士会の支部活動に参加する(横のつながり)
- 無料相談会などのイベントに参加する
- 同期開業者との情報交換
- 使いやすい参考書・マニュアルを揃えておく
■ まとめ|40代・50代からの挑戦に、準備は力になる
行政書士としての第一歩は、地道な準備から始まります。しかし、それを一つ一つ積み重ねることで、確実に“自分の城”が築かれていきます。
経験や人脈がゼロでも、準備と誠実な姿勢があれば十分にやっていける――それが行政書士という仕事の魅力でもあります。
ぜひこのチェックリストを参考に、あなたらしいスタートを切ってください。
「まだ遅くない」──むしろ、人生の経験が活きるスタートです。