一人事務所は時間との勝負|電話対応で手を止めないための工夫
行政書士として登録している人の多くは、一人で事務所をやっています。営業も、実務も、実務のための勉強も、経理も、全部を一人で回すことになる。開業してすぐに気づくのは、足りないのはお金より時間だということです。ここでは、その時間をいちばん削っていく「電話」との付き合い方について、実際にやってきたことを書きます。
一人事務所は、時間との勝負になる
会社勤めなら、電話を取る人、書類を作る人、外に出る人が分かれています。一人事務所にはその分担がありません。役所に行っている間も、書類を作っている間も、依頼者と話している間も、電話は鳴ります。大事な時間は、利益に直結することに使いたい——これは開業してすぐ、痛いほど実感することです。
だからといって電話に出ないわけにもいきません。行政書士の仕事は、最初の一本の電話から始まることが多いからです。問題は「出るか出ないか」ではなく、出ることで作業がどれだけ止まるかのほうにあります。
いちばん時間を奪うのは、電話そのものより「中断」
電話が1件5分で終わったとしても、失われる時間は5分ではありません。書きかけの申請書から意識を離して、電話に出て、切ったあとにもう一度「どこまでやったっけ」と戻る。この切り替えのコストが地味に効いてきます。1日に何度も繰り返せば、体感では倍以上の時間を持っていかれます。
しかも、かかってくるのが依頼者とは限りません。営業電話だったときの、あの脱力感。これも含めて、電話は「読めない中断」を作り続けます。

開業直後にできる、お金をかけない対策
電話代行サービスを外注する手もありますが、開業したてでなるべく固定費を増やしたくない時期には、正直ためらいます。私がやってきたのは、もっと素朴な方法でした。
1. 固定電話を携帯に転送する
事務所の固定電話にかかってきた分を、携帯へ転送する設定にしておきます。これで「事務所にいないと取れない」がなくなります。役所や現場に出ていても、依頼者の電話を取りこぼしません。逆に言えば、外にいても仕事が追いかけてくるということでもあるので、受ける時間帯を自分の中で決めておくのが大事です。
2. ハンズフリーで受ける
転送してきた電話を、片手で携帯を持って受けるのはもったいない。片耳のヘッドセットにしておくと、両手が空いたまま話せます。これがかなり効きます。話しながら手引きを開ける、パソコンで要件を調べる、その場でメモを取る——電話を「中断」ではなく「作業のついで」に近づけられます。
とくに開業初期は、聞かれたことに即答できないことも多いはずです。調べながら話せるというだけで、電話への心理的なハードルがずいぶん下がります。
3. 「今は出ない時間」を決める
すべてを取ろうとすると、結局どれも中途半端になります。面談中や集中して書類を作る時間帯は割り切って留守番電話にして、決まった時間にまとめて折り返す。これも立派な対策です。折り返しが早ければ、依頼者の信頼はきちんと守れます。
ヘッドセットを選ぶときの目安
高機能なものは要りません。片耳・軽い・長時間つけていても痛くならない、この3つで十分です。通話が中心なので音質より、相手に自分の声がきちんと届くこと(マイク性能)を優先してください。充電の持ちも確認しておくと安心です(楽天でもAmazonでも、お好きな方でどうぞ)。

まとめ
一人でお客様を開拓していくということは、限られた時間をどこに使うかを自分で決め続けるということです。電話は切り捨てられない大事な入口ですが、受け方を工夫すれば、作業を止めずに受けられます。転送設定とハンズフリー、そして「出ない時間」を決めること。お金をほとんどかけずにできる工夫なので、開業したらまず整えておくことをおすすめします。
——ヒロやん

