最近では「終活」が盛んになり、行政書士業務の中でも人気が出てきているのが「相続業務」です。また、行政書士試験でも、相続については出題されるので業務としてはとっつきやすいのではないでしょうか。

今回は相続業務の中の、「遺言書」の業務についての解説です。

行政書士の「遺言」業務とは、

「遺言」に関する業務は、行政書士法第1条の2、第1項の「権利義務または事実証明に関する書類を作成することを業とする」にあたり、行政書士の業務です。

厳密にいうと、遺言書を作成するのは依頼人、もしくは、公証人になるので、行政書士が行う業務は「遺言書文案の作成」になります。

また、行政書士法1条の3第4号の「行政書士が書類の作成について相談に応じること」に基づき相談業務を行えます。

つまり、遺言に関する業務は、

①遺言書の文案の作成 

②相談業務

になります。さらに付随業務として

③相続関係説明図(推定相続人関係説明図)

④財産目録の作成

⑤上記業務に必要な、戸籍謄本、登記簿謄本等の請求受領

の業務があります。

遺言業務を行うための基礎知識

遺言業務を行うには、まずどんな遺言の作成方法があるのかをお客様にできなければいけません。そのためには、基礎的なことはわかりやすく説明できるようにしておきましょう。

学習におすすめする本

遺言相続の実務について体系的に詳しく説明してあります。それだけにとどまらず、行政書士としての立ち居振舞いから、書式の見本まで書かれていますので、業務マニュアルとしてとても優秀な本です。

面談に慣れてないと必要なことを聞き漏らしたりしてしまいます。聞き漏らすことのないように予め、面談時にヒアリングすべきことをまとめておくとスムーズです。詳しい解説もあり参考になる一冊です。

遺言書の条文を作成するときに参考になる一冊です。事例に近い部分を抜粋して使用できます。

遺言書の作成方法について説明できますか?

「遺言書」の業務を行うにあたり、遺言書の種類やメリット、デメリットについてお客様にわかりやすく説明できないと業務獲得は難しいです。

遺言書の種類は普通方式遺言(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)と特別方式遺言(危急時遺言・隔絶地遺言)があります。

特別方式遺言は命の危険が迫っていて、緊急の場合に作成する方式です。

普通方式は一般的な作成方法で以下簡単に説明しておきます。

秘密証書遺言

秘密証書遺言書とは、遺言書の中身を秘密にしておくことができる遺言方式です。

メリット

遺言書の内容を誰にも知られることなく作成できる点です。公証人により確認されますが、秘密証書遺言は遺言書の存在のみを確認するので内容を知られることはありません。

デメリット

遺言の内容までは公証人がチェックしないため、遺言自体が無効になってしまう可能性があります。秘密証書遺言の作成にも一定の要件がありますのでそれを満たさないと無効になってまいます。

また、秘密証書遺言書は家庭裁判所の検認が必要になり、公正証書遺言書のように公証役場で原本を保存するものでもないので保管方法を検討しなければなりません。

ですので、遺言書を確実に残したいのであればお勧めできない方式といえます。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、自筆で遺言書を作成する形式です。特別な手続きも、費用もあまりかからない利用しやすい方法といえます。ただ、作成方法を誤ると無効になるリスクや保管方法の問題等を理解してお客様に説明する必要があります。

遺言者が、遺言全文・日付・氏名を自書し、押印をすることで、その遺言書は遺言としての効力が認められることになります。

メリット

手軽に作成できる。書き直しが簡単。

デメリット

・財産目録以外はすべて手書きで書かなければいけない
・方式を誤って作成すると無効になるリスクがある
・紛失、見つけてもらえないリスクがある
・変造、偽造や、破棄されるリスクがある
・遺言者が亡くなったとき、家庭裁判所で「検認」を受ける必要がある

2020年7月10日より法務局で自筆証書遺言の預かりサービスが始まっています。行政書士の業務としてはできませんが、説明できるようにしておくべきです。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証役場で遺言者が遺言の内容を公証人に口頭で伝えて、遺言書を作成する方法で、公正証書として公証役場で保存してもらう遺言のことを言います。

メリット

  • 不備による無効が回避できる
  • 偽造改ざんの恐れがない
  • 家庭裁判所の検認手続がいらない
  • 口述による作成のため自分で作成しなくても良い

デメリット

  • 費用がかかる
  • 証人二人の立ち会いが必要
  • 手続きが厳格で、必要書類の準備など作成完了まで時間がかかる

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