行政書士バッジは買えるのか|記章の交付・着用・返還のきまり

「行政書士のバッジって、どこで買えるんですか」——合格された方から、わりとよく出る質問です。答えを先に書くと、お店で買うものではありません。登録して会に入ると、会から渡されるものです。この記事では、その渡され方と、着けるきまり、なくしたときの手続き、やめるときに返すものを、会則の条文で確かめながら整理します。

目次(全11項目)
先に結論|買うものではなく、渡されるもの
行政書士のバッジは、正式には「記章(きしょう)」と呼ばれます。日本行政書士会連合会(日行連)の「行政書士徽章等規則」にもとづくもので、各都道府県の行政書士会が会員に交付します。
たとえば岡山県行政書士会の会則は、第9条「会員証及び記章の交付」で、個人会員に交付するものとして「日本行政書士会連合会行政書士徽章等規則に基づく行政書士徽章(以下『記章』という。)」を挙げています。
会則の中で「記章」という言葉が、この徽章のことだと定義されているわけです。以下、この記事でも「記章」と書きます。
つまり、登録して会員になることが先。バッジだけを買って先に持つ、という順番にはなりません。
どんな図柄なのか

北海道行政書士会が公表している説明によると、行政書士の徽章は「秋桜(コスモス)の花弁の中心に『行』の文字を配したもの」です。
同会は、コスモスの花言葉である「調和と真心」にふれ、この徽章が「社会調和を図り誠意をもって公正・誠実に職務を行うことを通じて国民と行政の橋渡しをし、国民の生活の向上と社会の繁栄進歩に貢献する」という行政書士の使命を象徴するものだ、と説明しています。
襟元の小さな花には、そういう意味が置かれています。知らずに着けていても仕事はできますが、知っていると、少しだけ背筋が伸びます。


「記章」と「証票」は別のもの
ここは混ざりやすいところです。行政書士が持つものには、大きく二つあります。
行政書士証票
こちらは法律に根拠があります。行政書士法第6条の2第4項は、次のように定めています。
日本行政書士会連合会は、第二項の規定により登録をしたときは当該申請者に行政書士証票を交付し、同項の規定により登録を拒否したときはその旨及びその理由を当該申請者に書面により通知しなければならない。
(行政書士法第6条の2第4項)
登録が済めば証票が交付される、拒否されれば理由を書面で通知される。ひとつの条文に、両方が並べて書かれています。証票は顔写真の入った、身分を示すものです。
記章(バッジ)
こちらは法律ではなく、日行連の規則と、各会の会則にもとづくものです。実際、行政書士法施行規則を通して読んでも、「証票」「徽章」「記章」という語は出てきません(e-Gov法令検索で確認しました)。日行連の会則・会則施行規則にも、徽章の条文は見当たりませんでした。
「バッジは法律で決まっているんですか」と聞かれることがありますが、正確には「法律ではなく、会のきまり」です。ここを取り違えると、後で説明がちぐはぐになります。

順番でいうと、どこで渡されるのか
登録の流れをざっくり並べると、こうなります。
- 行政書士となる資格を持つ人が、日本行政書士会連合会に登録を申請する(行政書士法第6条の2第1項)。申請は、事務所を設けようとする都道府県の行政書士会を経由します。
- 連合会が登録すると、行政書士証票が交付される(同条第4項)。
- 登録と同時に、その都道府県の行政書士会の会員になります。
- 会員になったところで、会から会員証と記章が交付される(岡山県行政書士会会則第9条)。
ですので「登録が終わったのにバッジが来ない」という状態は、順番としては起こり得ます。会からの交付が最後に来るからです。時期や渡し方は会によって違いますので、気になるときは会に聞くのがいちばん早いです。
着けなければいけないのか
会則に、はっきり書いてある会があります。岡山県行政書士会の会則第87条は「会員証の携行及び記章の着用等」という見出しで、個人会員は、執務に際しては会員証を携行し、記章を着用しなければならないと定めています。
「しなければならない」という書き方です。努力義務ではありません。ただしこれはその会の会則の話であって、全国一律の法律の義務ではない、という点は押さえておいてください。
実務の感覚で言えば、役所の窓口や初対面の依頼者と会う場面では、着けているほうが話が早いです。名乗るより先に、相手が理解してくれます。

なくした、こわしたとき
落とした、留め具が壊れた——起こります。
岡山県行政書士会の会則第18条は「会員証等の再交付」として、会員証等を滅失し、又は損傷したときは、遅滞なく、別に定める様式による申請書を提出して、会員証又は記章の再交付を受けなければならないと定めています。
ここも「受けなければならない」です。放っておく、という選択肢が書かれていません。なくしたら、まず自分の会に連絡して、様式をもらうところから始めます。

やめるとき、返すもの・返さないもの
ここは知っておくと、いざというときに迷いません。岡山県行政書士会の会則第17条「会員証等の返還」は、二つの場面を分けて書いています。
- 退会するとき——会員証等を返還しなければならない。
- 知事による業務の停止の処分を受けたとき——会員証を返還しなければならない。この場合において、記章の返還を要しない。
業務停止のときは会員証だけを返し、記章は手元に残るという書き分けになっています。退会と業務停止では、扱いが違うわけです。
細かい話に見えますが、こういう条文の書き分けは、読めば読むほど筋が通っています。退会は会員でなくなること、業務停止は会員のまま業務ができなくなること。返すものが違うのは、そのためです。

ネットで見かける「行政書士バッジ」について
検索すると、それらしいものが売られている場面に出くわすことがあります。
ここは慎重に書きます。記章は、会が会員に交付するものです。会則には、交付・再交付・返還の手続きが定められています。個人どうしで売り買いすることを前提にした条文は、私が読んだ範囲では見当たりませんでした。
そのうえで、売買が具体的にどの規定に触れるのかまでは、日行連の「行政書士徽章等規則」の本文を確認できていないため、ここでは断定しません。気になる方は、ご自分の会に直接お尋ねください。それがいちばん確かです。

よくある勘違いを、三つだけ
「法律でバッジの着用が義務づけられている」
正確ではありません。行政書士法にも、その施行規則にも、記章の規定はありません。着用を義務としているのは、会の会則です。義務であることに変わりはありませんが、根拠の場所が違います。
「証票とバッジは同じもの」
別物です。証票は連合会が交付する、法律上のもの。記章は都道府県の会が交付する、会則上のもの。返還のきまりも、それぞれ別に定められています。
「なくしても、黙っていればいい」
会則には「遅滞なく」「再交付を受けなければならない」と書かれています。放置してよい、とは書かれていません。気づいた時点で会に連絡するのが、結局いちばん手間が少なくて済みます。
いちばん確かなのは、自分の会の会則
この記事で条番号を挙げたのは、岡山県行政書士会の会則です。会則は単位会ごとに定められていて、条番号も内容も同じとは限りません。
私は山口県で登録していますが、山口県行政書士会の会則については、公開されている本文を確認できませんでした。ですので「山口ではこうです」とは書きません。
登録の手続きが済むと、会則の冊子か、会のサイトの会員ページで読めるようになります。最初のうちに、会員証と記章の条文だけでも一度目を通しておくと、あとで慌てません。だいたい、こういう条文を読むのは何かが起きてからになりがちですから。
まとめ
- 行政書士のバッジ(記章)は買うものではなく、登録して会に入ると会から交付されるもの。
- 証票は法律(行政書士法第6条の2第4項)、記章は会のきまり(日行連の規則と各会の会則)。根拠が違う。
- 会則で着用が義務とされている会がある(岡山県行政書士会会則第87条)。
- なくしたり壊したりしたら、遅滞なく申請書を出して再交付(同第18条)。
- 退会時は返還。業務停止の処分のときは会員証だけを返し、記章は返還不要(同第17条)。
- 条文は会ごとに違う。最後は自分の会の会則で確認する。
——ヒロやん


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