開業初日にそろえる10のもの|行政書士の必要最小限リスト

本ページはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

登録が決まると、次に悩むのが「結局、開業初日までに何を買えばいいのか」です。全部そろえようとすると初期費用がかさみます。この記事では義務的に必要なものと、後回しでよいものを分けて、優先順位つきでご紹介します。

開業準備で迷いがちな「モノ」の話

行政書士の登録手続きが終わると、事務所開設の準備が一気に現実味を帯びてきます。行政書士の登録手続きの実際でも触れましたが、登録が完了してから開業までの期間は意外と短く、あれこれ調べる時間がないまま初日を迎える方も少なくありません。

ネットで検索すると「開業に必要なものリスト」がいくつも出てきますが、値段も優先度もばらばらに並んでいて、結局いくら用意すればいいのか分かりにくいものです。私自身も開業前に同じ悩みを抱えました。ここでは10項目を、法律上の義務があるもの、実務上ほぼ必須のもの、余裕ができてからで構わないものに分けてお伝えします。

①②印鑑まわり|職印と実印・銀行印

まず欠かせないのが印鑑です。行政書士には「職印」という業務専用の印鑑があり、実印・銀行印とは別に用意します。作成した書類には記名のうえ職印を押す義務があるため、これがないと業務そのものが始められません。

行政書士法施行規則第9条第2項には、次のように定められています。

(書類等の作成)第九条第二項 行政書士は、作成した書類に記名して職印を押さなければならない。

また、職印を「業務上使用する印鑑」として定めること自体も義務です。同規則第11条を確認しました。

(職印)第十一条 行政書士は、日本行政書士会連合会の会則の定めるところにより、業務上使用する職印を定めなければならない。

この条文を読むと分かるとおり、職印の寸法や書体そのものは施行規則には書かれておらず、日本行政書士会連合会の会則、さらにその先の各都道府県行政書士会(単位会)の会則・細則で細かく定められる仕組みになっています。単位会によってサイズの規定に幅があるため、寸法は必ずご自身が入会する単位会の規定でご確認ください。私も登録の際、事前に自分で買っていた印鑑が規定サイズと微妙に違い、単位会の窓口で慌てて確認した経験があります。実印・銀行印は事業用の口座開設や賃貸契約などで必要になるので、こちらも早めに準備しておくと安心です。行政書士の職印とゴム印の記事で、ゴム印との使い分けも含めてもう少し詳しく書いています。

職印は毎日使う道具なので、耐久性のあるものを選んでおくと後々買い直さずに済みます。実印には行政書士としての実務ではあまり出番はありませんが、開業届や賃貸借契約、金融機関との手続きで求められる場面が意外と多いです。

印鑑をそろえるならはんこdeハンコで印鑑を探す スーパーハンコで法人印・実印を探す

申請書類・封筒・ペンを机に並べた俯瞰の水彩イラスト
職印は業務専用、実印・銀行印は事業運営全般で必要になります。

③④⑤事務所で掲示・備付が義務のもの|表札・報酬額表・事件簿

この3つは「あったら便利」ではなく、法律で掲示・備付が義務づけられているものです。優先順位で言えば最上位に置くべき項目です。

③表札の掲示

行政書士法施行規則第2条の14第1項を確認しました。

(事務所の表示)第二条の十四 行政書士は、その事務所に行政書士の事務所であることを明らかにした表札を掲示しなければならない。

自宅の一室を事務所にする場合でも例外はありません。デザインや材質までは規定されていないので、シンプルなもので十分です。詳しくは行政書士事務所に看板(表札)は必要?で書いていますので、あわせてご覧ください。

④報酬額表の掲示

行政書士法第10条の2第1項も確認済みです。

(報酬の額の掲示等)第十条の二第一項 行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。

「見やすい場所に」とあるので、事務所を訪れた依頼者が視線を上げれば目に入る位置に掲示します。エクセルやワードで自作しても構いませんし、単位会が用意している様式を使ってもかまいません。難しい道具ではないので、開業前に一度作ってしまうのがおすすめです。

⑤事件簿(帳簿)

行政書士法第9条第1項・第2項も確認しました。

(帳簿の備付及び保存)第九条第一項 行政書士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名その他都道府県知事の定める事項を記載しなければならない。

(帳簿の備付及び保存)第九条第二項 行政書士は、前項の帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から二年間保存しなければならない。行政書士でなくなつたときも、また同様とする。

ノートに手書きでも義務は満たせますが、案件が増えてくると検索性が悪くなり、確定申告の時期に苦労します。私は最初の数か月だけ手書きノートで運用し、途中でシステム管理に切り替えました。最初から仕組みを決めておいたほうが、後で移行する手間がありません。詳しい運用方法は行政書士事件簿作成システムの使い方にまとめています。

  • 表札:行政書士法施行規則第2条の14(掲示義務)
  • 報酬額表:行政書士法第10条の2第1項(見やすい場所への掲示義務)
  • 事件簿:行政書士法第9条(備付・2年間保存の義務)

⑥⑦名刺・封筒|対外的な最低限の道具

名刺は法律上の義務ではありませんが、実務上は初日から必要になります。相談会や紹介の場で名刺を渡せないと、それだけで信用面にマイナスです。事務所名・氏名・行政書士登録番号・連絡先を入れたシンプルなもので十分で、凝ったデザインは後からいくらでも作り直せます。

封筒も同様に義務ではありませんが、依頼者に書類を郵送する際、事務所名の入った封筒があると印象が変わります。最初は無地の封筒に事務所名のスタンプを押すだけでも構いません。どちらも数千円で用意できる範囲なので、開業初日の優先度としては中程度、ただし「あると助かる」ものと考えてください。

⑧複合機かスキャナ|書類のやり取りを支える道具

行政書士の仕事は書類のコピー・スキャン・郵送のやり取りが非常に多い仕事です。役所への提出書類は原本とコピーの両方が必要になることが多く、依頼者から預かった書類をスキャンして電子データで保管する場面も日常的にあります。複合機かスキャナのどちらかは、開業初期のうちに用意しておいたほうがよい項目です。

最初から高機能な複合機を買う必要はなく、家庭用のインクジェット複合機やドキュメントスキャナでも当面はしのげます。案件数が増えて印刷枚数が多くなってきたら、ランニングコストの安いレーザー複合機への切り替えを検討するとよいでしょう。選び方の詳細は行政書士事務所のプリンタ・複合機選びにまとめています。

ドキュメントスキャナの商品写真

RICOH PFU ScanSnap iX2500(FI-IX2500)

紙の書類を電子化する専用機です。複合機のスキャン機能でも読めますが、専用機は速さと後処理の手間がまるで違います。原本を返す前に丸ごと取り込んでおけば、あとから「あの書類どこだったか」で探し回ることがなくなります。

  • RICOH PFU製。ドキュメントスキャナのScanSnapシリーズの現行モデルです
  • 読み取りは両面同時で毎分45枚(カラー/グレー150〜300dpi時)、給紙は最大100枚(A4・80g/m²時)と商品ページに記載があります
  • A3・A4・A5・B4・名刺・領収書などに対応。Wi-Fi対応なので、机の上でパソコンとつながずに使えます

価格・在庫・仕様は変わります。購入前に各サイトの現行表示をご確認ください。

⑨鍵のかかる書庫|守秘義務を果たすための設備

依頼者の戸籍謄本や登記簿、契約書の写しなど、個人情報を含む書類を預かるのが行政書士の仕事です。自宅を事務所にしている場合、家族が出入りする空間に依頼者の個人情報が入った書類を無造作に置いておくわけにはいきません。鍵のかかる書庫やキャビネットは、体裁というより守秘義務を実際に果たすための設備です。

大きな金庫まで用意する必要はなく、鍵付きの書類棚やキャビネットで十分です。事件簿とあわせて、案件ごとに書類を分けて保管できる仕組みを最初に決めておくと、案件数が増えたときに探し物で時間を取られずに済みます。

鍵付きファイリングキャビネットの商品写真

LUNA ファイリングキャビネット 3段(L-A4-3・鍵付き)

依頼者からお預かりした書類は、鍵のかかる場所にしまう。これだけで守秘義務まわりの不安はかなり減ります。自宅事務所なら、家族が入る部屋に置かないことも合わせて考えてください。

  • 幅390×奥行620×高さ1040mm、3段の引き出し式と商品ページに記載があります
  • 鍵付き。A4サイズの書類に対応しています
  • 材質はスチールと木製の組み合わせと記載。事務所らしくなりすぎない見た目なので、自宅の一室にも置きやすいです

価格・在庫・仕様は変わります。購入前に各サイトの現行表示をご確認ください。

⑩会計ソフト|開業初日から記帳を始める

開業した日から、事業に関するお金の出入りは記帳の対象になります。後からまとめて入力しようとすると、レシートが行方不明になったり、何のための支出か思い出せなくなったりして、確定申告の時期に苦労することになります。会計ソフトは物理的な「モノ」ではありませんが、開業初日にそろえておくべき道具のひとつとして数えておくべきです。

クラウド型の会計ソフトであれば、銀行口座やクレジットカードと連携させて自動で取引を取り込めるので、記帳の手間を大きく減らせます。青色申告を予定している場合は、複式簿記に対応したソフトを選んでおくと、確定申告の時期に慌てずに済みます。ソフトの選び方は開業したら会計ソフトはどれ?で詳しく比較しています。

会計ソフトを試すならマネーフォワード クラウド確定申告を無料で試す やよいの青色申告 オンラインを無料で試す freee会計を無料で試す

整った事務所の机まわりと観葉植物、朝の光の水彩イラスト
守秘義務を果たす書庫と、記帳を続けるための会計ソフトは開業初日からのセットで考えます。

優先順位のまとめ|今すぐ・1週間以内・落ち着いてから

10項目を並べて眺めると、法律上の義務があるものと、実務上あったほうがよいものが混ざっていることが分かります。予算に限りがある開業初期は、次のような順番で考えると無理がありません。

優先度項目理由
今すぐ(義務)①職印/③表札/④報酬額表/⑤事件簿いずれも法律・規則に根拠のある義務。初日から必要
1週間以内(実務上ほぼ必須)②実印・銀行印/⑨鍵のかかる書庫/⑩会計ソフト口座開設・守秘義務・記帳の開始に直結する
落ち着いてから(後回し可)⑥名刺/⑦封筒/⑧複合機かスキャナ簡易な代替(無地封筒・家庭用機)で当面しのげる

全部を開業初日にそろえる必要はありません。義務のあるものから手をつけて、実務が回り始めてから少しずつ環境を整えていく、という順番で十分です。私自身、複合機だけは半年ほど家庭用のもので済ませ、案件が増えてから買い替えました。それで特に困ることはありませんでした。

まとめ

開業初日にそろえるべきものは、義務があるかどうかで優先順位が決まります。職印・表札・報酬額表・事件簿はいずれも根拠条文がある義務なので最優先で準備し、実印・銀行印・書庫・会計ソフトは実務が始まってすぐに必要になるものとして早めに手をつけます。名刺・封筒・複合機は簡易な代替でしのぎながら、落ち着いたタイミングで整えていけば大丈夫です。焦って全部そろえようとせず、優先順位に沿って一つずつ準備していきましょう。

この記事で参照した一次情報行政書士法施行規則(e-Gov法令API v2、法令ID 326M50000002005)第2条の14、第9条第2項、第11条/行政書士法(e-Gov法令API v2、法令ID 326AC1000000004)第9条第1項・第2項、第10条の2第1項(いずれも2026年8月20日確認)

——ヒロやん