行政書士事件簿作成システムの使い方|無料ソフトで帳簿・請求書をラクに

水彩イラスト:整った事務所の机まわりと観葉植物、朝の光

開業して実務が始まると、意外と早く「事件簿って、どうやってつければいいの?」という壁にぶつかります。じつは事件簿は、つけることが法律で義務づけられた帳簿です。とはいえ、身構えることはありません。日本行政書士会連合会の会員なら無料で使える便利なソフト——株式会社ワイズの「行政書士事件簿作成システム」があります。この記事では、その入手・インストールから初期設定、基本の使い方までを、開業したての方に向けてやさしく整理します。

そもそも「事件簿」って何?(つけるのは義務です)

行政書士は、業務に関する帳簿=事件簿を備えることが、行政書士法で義務づけられています。まずは根拠の条文を正確に見ておきましょう。

(帳簿の備付及び保存)第九条 行政書士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名その他都道府県知事の定める事項を記載しなければならない。
2 行政書士は、前項の帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から二年間保存しなければならない。行政書士でなくなつたときも、また同様とする。

つまり、①事件の名称・年月日・受けた報酬の額・依頼者の住所氏名などを記載した帳簿を備えること、②その帳簿を関係書類とともに帳簿閉鎖の時から2年間保存すること——この2つが求められています。手書きの帳簿でも構いませんが、案件が増えてくると管理が大変になります。だからこそ、開業の早い段階で仕組みを整えておくと安心です。

出典行政書士法第9条(帳簿の備付及び保存)。条文はe-Gov法令検索でご確認ください(行政書士法|e-Gov法令検索)。
水彩イラスト:机に書類・ファイル・ペンを並べた俯瞰

ワイズ「行政書士事件簿作成システム」はどんなソフト?

これは、株式会社ワイズ(ワイズ公共データシステム)が提供している、行政書士向けの無料ソフトです。行政書士の実務に必要な項目があらかじめ用意されているのが特徴で、事件簿づくりだけでなく、日々のお金まわりの書類までひとつでまかなえます。おもにできることは、次のとおりです。

  • 事件簿の作成・管理
  • 見積書・請求書・領収証の作成
  • 請求・入金(未収金)の管理
  • 顧客別・月別などの売上集計
  • データのExcel出力

見積りから請求、領収、そして事件簿への記録までを、ひとつの流れで扱えます。開業したての「まだ数件」という時期から使い始めておくと、件数が増えても慌てずにすみます。

入手・インストールの手順

このソフトは、日本行政書士会連合会の会員専用サイト「連con」から無料でダウンロードします。行政書士として登録済みの会員であることが前提です。手順は次のとおりです。

  1. 日本行政書士会連合会のサイトから「会員ログイン」で連conにログインします。
  2. 左のサイドメニューの一番下にある「事件簿作成システム」のバナーをクリックします。
  3. 無料ダウンロードページが開くので、システム本体をダウンロードします。
  4. ダウンロードしたファイルからインストールします。

同じダウンロードページから操作マニュアルもダウンロードできるので、あわせて入手しておくと安心です。なお、入手時に行政書士登録番号の入力を求められる場合があります(会員向けの提供のためです)。

動作環境の注意Windowsパソコンでの利用を想定したソフトです。Excelへの出力機能を使うには、パソコンにMicrosoft Excelが入っている必要があります。対応OSなど詳しい動作環境は、ダウンロードページや同梱のマニュアルで確認してください。(このあたりの細かな要件は変更されることがあり、確実な最新情報は公式のご案内が正です。)

最初にやる初期設定

インストールして起動したら、まずはユーザー登録を行います。続けて、書類にあなたの事務所情報が正しく印刷されるよう、「ページ設定」で次のような項目を整えておきましょう。

  • 行政書士事務所の情報(事務所名・住所など)
  • 振込先の金融機関(最大5件まで登録できます)
  • 用紙・印刷位置の補正
  • 敬称や、収入印紙欄の設定

あわせて、依頼者(顧客)の情報も登録しておきます。顧客は「顧客選択」の画面から追加・編集・削除ができます。最初にここを整えておくと、あとの入力がぐっと楽になります。

基本の使い方(見積書→請求書→領収証と事件簿)

基本の流れはシンプルです。「新規作成」→「顧客選択」で依頼者を選ぶ→「請求書の編集」で内容を入力、という順に進めます。請求書の編集画面では、報酬業務の明細と、立替金その他の明細を入力していきます。入力した内容は、そのまま事件簿にも反映されていきます。

事件簿に入る主な項目は、次のとおりです。

区分主な入力項目
番号・日付受託番号/見積書番号/請求書番号/領収証番号/締日
案件業務件名/担当者
金額報酬業務明細/立替金その他明細/入金明細

作った書類は、見積書・請求書・領収証を個別にも、まとめて一括でも印刷できます。事件簿そのものを印刷する機能もあります。入力したデータは検索して確認でき、Excelに出力することも可能です。さらに、売上を顧客別・月別・業務件名別・担当者別に集計できるので、「今月はどうだったか」を振り返るのにも役立ちます。

水彩イラスト:封筒・卓上カレンダー・少しの硬貨を並べた俯瞰

使うときの注意点

便利なソフトですが、いくつか気をつけたい点があります。

削除したデータは元に戻せません操作マニュアルにも明記されています。うっかり消してしまうと復旧できないので、こまめにバックアップを取る習慣をつけましょう。
  • 複数人での同時編集は避ける——データの取り違えや破損を防ぐためです。
  • 依頼者の個人情報は厳重に管理する——行政書士には守秘義務があります。パソコンの管理・持ち出しにも注意しましょう。
  • 操作マニュアルの内容は作成時点(2021年10月時点)のもので、バージョンにより画面や動作が異なる場合があります。最新はソフト内の表示や公式のご案内で確認してください。
  • 先ほどの条文のとおり、帳簿は帳簿閉鎖の時から2年間の保存義務があります。データも計画的に保管しておきましょう。

まとめ

事件簿は、行政書士法第9条で備付けが義務づけられた大切な帳簿です。手書きでも作れますが、ワイズの無料ソフトを使えば、見積書・請求書・領収証の作成から売上集計まで、実務のお金まわりをまとめて整えられます。日行連の会員なら無料で入手できるので、開業準備の段階で手に入れて、一度さわってみるのがおすすめです。最初に仕組みを整えておけば、件数が増えても落ち着いて対応できます。

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——ヒロやん