自宅を事務所にできる?行政書士の事務所要件と自宅開業の注意点

「開業したいけれど、事務所を借りるお金が心配」——そんなとき、まず候補になるのが自宅開業です。結論から言うと、行政書士は自宅を事務所にできます。ただし「自宅の一室をそのまま使えばOK」ではなく、いくつか満たすべき条件があります。ここでは、自宅事務所の要件と注意点を、実務目線で整理します。
結論:自宅を事務所にできる。ただし「生活空間と分ける」が条件
自宅開業は多くの行政書士が選ぶ、現実的な方法です。ポイントは、生活の空間と、事務所の空間を明確に分けること。玄関から執務スペースまでの動線で、生活感のあるものが見えないようにする、といった配慮が求められます。だらしなく生活空間と一体化していると、事務所として認められないことがあります。
そもそも、事務所は「設けなければならない」
行政書士は、業務を行うための事務所を設けることが法律で義務づけられています。行政書士法第8条は、行政書士に事務所の設置を義務づけ、あわせて2か所以上の事務所を設けることを禁じています。自宅であっても、この「事務所」としての実体を備えている必要がある、というのが出発点です。
「独立性」って、具体的にどういうこと?
よく言われる「独立性」は、ざっくり言えば仕事に集中でき、依頼者の秘密を守れる空間かどうかです。実務的には、次のような点が見られます。
- 執務スペースと応接スペースを分ける(机・椅子・応接セット・保管庫など)
- 守秘義務のため、来客から業務書類やパソコン画面が見えない配置にする
- ワンルームなどでは、パーテーションで区切る/寝具を分けるなどの工夫
- 書類は施錠できる場所に保管する
とくに仕切り(パーテーション)と鍵のかかる保管庫は、守秘義務への対応として用意しておくと安心です。事務所調査でも見られやすいポイントです。

賃貸・マンションは「使ってよいか」を先に確認
持ち家でなく賃貸や分譲マンションの場合は、その物件を事務所として使ってよいかを先に確認します。賃貸なら貸主の使用承諾、分譲マンションなら管理規約で「事務所利用(事業利用)」が認められているか、が問題になります。ここを確認せずに進めると、あとで使えないと分かって振り出しに戻ることもあります。契約書や規約を、早めにチェックしておきましょう。
登録時の「事務所調査」も知っておく
登録の際、事務所の実体を確認するための調査が行われることがあります。事前に提出した平面図と実際のレイアウトを合わせておく、当日は片づけておく、取扱業務を説明できるようにしておく——といった準備が要ります。なお行政書士事務所の表札(看板)は、登録前には掲げられません。掲げるのは登録後です。調査の有無ややり方(写真提出のみか、実地調査か)は会・地域で運用が異なるので、必ず所属予定の行政書士会に確認してください。

まとめ
自宅を事務所にすることは可能で、費用を抑えて始められる現実的な方法です。ただし「生活空間と分ける」「守秘義務に配慮する」「賃貸・マンションは使用の可否を確認する」という条件があり、細部は会・地域で運用が変わります。まずは所属予定の行政書士会の案内を確認し、レイアウトから整えていきましょう。
——ヒロやん

